喉について

喉は食べ物を食道や胃に送り込む役割と、肺に空気を届け、また言葉を発する役割を担っています。さらには、口から入ってきた細菌やウイルスの体内への侵入も防いでいます。いずれも、とても大切な働きです。

代表的な喉の疾患

扁桃炎

扁桃炎とは口蓋垂の左右に1個ずつある口蓋扁桃に、ウイルスや細菌による急性の炎症が起こる疾患です(急性扁桃炎)。年に4回以上この急性扁桃炎を繰り返すようなら、慢性扁桃炎と診断されます。

症状

風邪のような症状(高熱や寒気、頭痛、全身倦怠感、関節痛)と強い咽頭痛が現れます。喉の奥を見ると、両脇が赤く腫れているのが観察されます。

検査

症状を把握し、扁桃の状態を観察します。細菌かウイルス、どちらが原因による扁桃炎かを調べるために血液検査をする場合もあります。白血球の増加や炎症の程度をみるCRPなどをチェックします。(結果は翌日以降になります。)適切な抗生剤を投与するために、扁桃の細菌培養検査を行うことがあります。

治療

ウイルス性の扁桃炎の場合は、風邪と同様の対症療法が中心で、解熱剤を服用し、よくうがいをし、安静にすることで、通常は1週間程度で治ります。
ただし、血液検査をしないとウイルス性か細菌性か判断できないため、さらにウイルス性でも細菌による二次感染をおこす場合もあるため、血液検査をしない場は、抗生剤も一緒に内服することをお勧めします。
細菌性の扁桃炎の場合には、抗生剤の投与が標準的な治療で、症状をやわらげるために解熱剤や消炎鎮痛薬、うがい薬などを処方します。慢性扁桃炎の場合は扁桃を切除する治療を行うことがあります。

扁桃周囲膿瘍

急性扁桃炎に続いて起こり、口蓋扁桃の周囲に炎症が及んで扁桃周囲炎が発症します。さらに菌が膿のかたまりをつくると、扁桃周囲膿瘍と呼ばれる状態になります。若い成人男性や糖尿病の方に多くみられます。
早急に治療をしないと重症化する場合もあり、身体の下へ膿瘍が拡大し、喉頭浮腫(炎症により気道が狭くなる)、頚部膿瘍、縦隔膿瘍に進展し重篤になる場合もあり注意が必要です。

症状

喉の腫れ、痛み、発熱が生じ、膿瘍を形成するに及ぶと、顎(あご)が開きにくい、発音しづらい、喉の片側面が強く痛む、飲み込みにくい、強い口臭などの症状が現れてきます。

検査

視診、内視鏡検査、血裔検査、頸部の超音波検査、CT検査などが行われます。

治療

抗菌剤を用います。抗菌剤がよく効かないような場合は、膿瘍に穿刺(せんし)や切開をして排膿処置をすることがあります。

声のかすれ(嗄声)

のどの使い過ぎによる一時的な声のかすれは心配ありません。しかし、そうした状態が何ヶ月も続く場合や、徐々に進行する場合、また反復して起こる場合などは、原因を特定するため、内視鏡検査(鼻から挿入しのどの奥まで見る細いカメラ)で直接声帯を確認する必要があるため耳鼻咽喉科にご相談ください。
風邪、扁桃炎、咽喉頭炎、気管支炎、声帯炎のほか、逆流性食道炎による喉頭肉芽腫、声帯ポリープや声帯結節、喉頭癌が原因のこともあります。
また咳が続くような状態が長引くと咳により声帯に炎症が生じるため喘息が原因の場合もあります。
ほかに頚部の手術による合併症や脳や胸の腫瘍、大動脈瘤によって、声帯の運動障害が生じ、声がかすれる場合もあります。
とにかく原因は多岐にわたり、時には重い病気のシグナルであったりもします。例えば、下記の喉頭がんの症状としても、喉の違和感・声のかすれはみられますので、十分に注意する必要があります。

検査

問診、鼻鏡検査、喉の視診、内視鏡検査、画像検査

治療

原因に対する治療

喉頭がん

喉頭がんは、喫煙者と大量にお酒を飲む方に多い疾患です。
声門上部にできる「声門上がん」、声帯にできる「声門がん」、声門下部にできる「声門下がん」の3つに分けられ、症状もそれぞれに異なってきます。

声門上がん
異物感、いがらっぽさ、食べ物を飲み込むときに痛む、などの症状が見られます。
声門がん
喉では一番多いがんで、初期症状は声のかすれです。食べ物を飲み込むときに違和感を伴うこともあります。
声門下がん
かなり進行するまで自覚症状がありませんが、最初の症状は、やはり声のかすれです。

※声のかすれが気になったら、一度は耳鼻咽喉科をご受診ください。

耳下腺炎・顎下腺炎

唾液をつくる耳下腺(耳の前から下にある)、および顎下腺(顎の下にある)に炎症が生じた状態で、いろいろな原因で起こります。主な原因はウイルスや細菌の感染です。ウイルス性の代表的なものとしては、流行性耳下腺炎、いわゆる「おたふく風邪」があります。唾液腺炎を発症すると、抗菌作用、粘膜保護作用、消化作用など、唾液のもつ機能が低下します。

症状

炎症部位の痛み、口の中の乾燥、唾液の減少、発熱、寒気などがみられます。

検査

血液検査や画像検査(超音波検査、CTなど)が行われます。

治療

細菌性のものに対しては抗生物質を用います。ウイルス性に対しては、全身的には安静と解熱薬の投与、局所的には冷湿布とうがいを行います。

口内炎

口内炎は、口の中やその周辺の粘膜に起こる炎症の総称です。
ビタミン不足、疲労やストレス、口の内側を噛むなど、様々な原因で起こり、口の中の粘膜であれば頬の内側や唇の内側、歯ぐき、舌など、どの部分にもできます。全身疾患の一つの症状として起こるケースもありますので、口の中のどこにできているか、多発していないか、繰り返していないか、治りにくくはないか、などを総合的に判断する必要があります。

症状

口内炎ができると、熱いものや冷たいものがしみたり、食べ物が触れただけでも痛みが強まり、食事を摂れなくなったりすることがあります。

検査

全身性の病気が疑われるような場合は、血液検査などが行われることがあります。

治療

ステロイド薬の軟膏や抗菌薬などによる薬物療法、ビタミン剤投与などが行われることがあります。原因疾患がある場合は、その治療を行います。

口腔乾燥症(ドライマウス)

唾液の分泌が低下して口が異常に乾きやすくなった状態のことで、よく“ドライマウス”とも呼ばれます。糖尿病やシェーグレン症候群、薬の副作用(抗ヒスタミン薬、抗コリン薬等)、老化、口呼吸、ストレスなどが原因になります。

症状

軽度では主に口の中のネバネバ感、ヒリヒリ感が生じ、また虫歯が発生し、歯垢を増加させ、口臭が生じます。重度になると、唾液分泌量が低下し、口腔内の乾きが進行して、強い口臭、舌表面のひび割れ、痛みや飲み込みにくさによる摂食障害、会話困難などの症状も現れてきます。不眠をきたすこともあります。

検査

唾液量を測定する検査や、病気が隠れていないかを確認するための血液検査などを行います。

治療

生活指導や対症療法が中心となります。保湿性薬剤、保湿力の高い洗口液、保湿ジェル、夜間の乾燥を防ぐ保湿用マウスピース、夜間義歯などを症状に応じて用います。唾液の分泌を増やす薬や人工唾液(スプレー)による治療が行われることもあります。