いびきについて
空気の通り道である気道(口、鼻、のど)が何らかの原因で狭くなることによって、いびきは生じます。狭いところを空気が通ろうとすると、空気抵抗が大きくなり、呼吸をした時に喉の粘膜が振動して音が生じます。呼吸の気流で生じるこの振動音こそが、いびきの本体です。
そのため、いびきの専門科は耳鼻咽喉科になります。
なお、単にいびきをかいているだけではなく、実はその中には睡眠時無呼吸症候群の方もいらっしゃいます。
睡眠時無呼吸症候群 SAS
睡眠時無呼吸症候群はいびき、日中の眠気、起床時の頭痛、集中力低下などの症状で、さらに成人では居眠り運転を引き起こしたり、高血圧、脳卒中、心筋梗塞を引き起こす危険性が3〜4倍になると言われています。
小児では学力低下、成長障害を生じることもあります。
そのため単にいびきとして放置するのは禁物です。
パートナーに指摘された方、自覚なさっている方、その心配のある方などは一度精査をお勧めします。
当院ではいびきが口、鼻、のどのどこが原因となっているか、睡眠時無呼吸症候群の有無、程度を精査し適切な治療をいたします。
原因
肥満で首の皮下脂肪によりのどが狭くなる、舌が大きい、顎が小さいなどの骨格的形状、鼻炎、副鼻腔炎、鼻茸、鼻中隔湾曲症、扁桃肥大、アデノイド増殖症など
検査
鼻鏡検査、鼻腔通気度検査、内視鏡検査、携帯型装置による簡易検査、鼻炎が原因と疑う場合は特異的IgE抗体検査(血液検査)
治療
原因、無呼吸症候群の有無、程度によって適切に治療を行います。
例えば、鼻炎や副鼻腔炎による鼻水や鼻閉がいびきの原因になっていると考えられる場合はまずそれに対する治療を行います。
そのため鼻の粘膜を焼灼して鼻腔を拡げるレーザー治療も選択肢のひとつです。
睡眠時無呼吸症候群の重症例では、大人はCPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)という寝る特に装着するマスクのような機器を貸し出しいたします。(保険診療のため比較的安価で利用できます)
CPAPによる治療により脳卒中や心筋梗塞による死亡率を健常人と同等まで低下させると言われています。
お子様はアデノイド増殖症、扁桃肥大が原因となっている場合が多く、肥大を認める場合は外科的加療になります。
睡眠時無呼吸症候群 SASの簡易検査
前記のような症状に心当たりのある患者さまには、睡眠時無呼吸症候群の「簡易検査」をお勧めしております。お貸し出しした専用機器を使って、ご自宅で検査を行っていただき、当院でデータを解析いたします。睡眠時無呼吸症候群の診断、および症状の程度を測定するための検査です。
口と鼻に呼吸センサーを、指に血中酸素濃度を調べるセンサーをそれぞれ取り付けて一晩ご就寝いただき、時間当たりに10秒以上の無呼吸・低呼吸が何回生じるか、また同時に血中酸素濃度の低下が起こっているかどうかを調べます。